在宅案件 (ケース1)
一般的に「在宅案件」とは、日本人と婚姻した外国人や日本人の子を持つ外国人が自ら入国管理局に出頭し、在留特別許可を申請するケースを指します。この場合にはよほどの事情がない限り入国管理局で収容されるケースはほとんどなく、最終的に在留特別許可がおりて正規のビザ(在留資格)がもらえる例が多く見られます。
ただし、初回の入国管理局出頭時に内容が疑わしい案件の場合にはあえて収容せず、その後に警備官が内密に調査を行い次回の呼び出し時に証拠をそろえてから収容するケースもあります。
また、初回に出頭した後も、すぐに正規のビザ(在留資格)がもらえるわけではありません。出頭をしても正規の在留資格(ビザ)がもらえるまでは不法滞在のままであることには変わりませんから、状況によっては職務質問などをうけて警察に逮捕されることも十分にありえます。その場合には警察の対応にもよりますが、原則として以下の収容案件と似た手続きを取る事になります。収容案件 (ケース2)
「収容案件」とは、不法滞在などで警察や入国管理局に逮捕・収容されてから在留特別許可を申請するケースなどのことです。
逮捕された時点で既に日本人と婚姻していた場合などは、収容後に在留特別許可を申請しても許可がもらえるケースがあります。しかし、自主出頭した場合に比べると“素行の善良性”などの見地から許可がもらえる可能性が落ちることが多いようです。また、通常は仮放免手続きも同時に行いますが、このケースでは仮放免が許可されることはあまりなく、身柄を収容したままの状態で調査を進め、法務大臣が最終的な判断を下すケースがほとんどです。
一方、逮捕された時点で婚姻していなかった場合、状況はかなり厳しくなります。入国管理局へ収容後に婚約者などが婚姻届を提出し急いで在留特別許可を申請する例もありますが、これは“駆け込み婚”と呼ばれ、婚姻の“信憑性”や“在留の必要性”などの観点から問題視されます。以前はこのような状況での申請でも婚姻が真正なものであれば認められるケースも多くありましたが、現在の判断基準ではよほどの客観的な証拠などがなければなかなか許可には至りません。
また、逮捕されたときに不法滞在以外の罪、例えば窃盗、売春、薬物使用などで摘発された場合には、在留特別許可の取得はさらに困難になります。裁判の結果、執行猶予が付く程度であれば低いなりにも可能性はありますが、実刑の判決などが出た場合には、在留特別許可を申請しても日本での在留を許可されることは難しいでしょう。ただし、人身取引などに伴う売春の場合であれば2006年7月に「人身取引等の被害者に関する上陸特別許可事由及び在留特別許可事由の改正」が行われたため、婚姻などの要件がなくても在留特別許可が認められる可能性があります。